業務をしていく中でよく聞かれる質問の一つである。
患者さん本人から聞かれることももちろんあるが、特に入院されてきた患者さんのご家族等から聞かれることの多い質問である。いつまで入院が可能であるか、その確認をしておきたいというのは当然のことではないかと思う。
結論から言えば、入院してきた病棟や病名などによってそれぞれ基準となる入院期間が定められており、その基準となる日数が入院可能な期間というのが基本的な答えになるかと思われる(大腿骨の骨折で回復期病棟への転院であれば90日以内など)。
背景としては、国が医療費抑制のために長期入院患者を増やさないようにと、色々基準を細かく設けていることがある。要するに、基準の日数を超えてしまうと診療報酬(言ってしまえば単価)が大きく下がり病院の経営上よろしくないのだ。そもそも入院生活など長引かないに越したことはないと思うが、そういった事情もあるのでその方に定められた入院期間までに退院を目指していくのが基本となっている。
この手の質問(テーマ)については他にも触れておきたいような事柄も多くある内容だが、今回は相談業務を通じて特に気にかけている点について触れていきたい。つまり、この質問が意味するもの、その背景はさまざまでありそれをどう汲み取っていけるかが大切ではないかと考える。
言うまでもないかもしれないが、入院患者さんは骨折や脳卒中など病気を発症したことにより、入院前と比べて身体の動きなどのレベルが低下してしまうことが多い。ご高齢の患者さんであればなおさらであり、実際ご高齢の患者さんの割合も非常に多い現状である。子ども夫婦と同居、夫婦のみの世帯、あるいは独居の方など家族構成だけでも背景はさまざまだが、ご家族等からしたら色々な心配が生まれてくるのは当然ではないかと思う。
どこまで動けるようになる(回復する)のか、また以前のような生活ができるのか、費用はどれくらいかかるのか、いつ頃退院できそうなのか、なにかサービスを入れないといけないのか、退院後はどういったことに気を付けないといけないのか、そもそも自宅への退院はもう難しいのではないかなど、ぱっと思いついただけでもさまざまな心配事があるだろうし実際直面してきたような内容である。
したがって、「いつまでここにいられますか」という質問の背景にはどんな不安や思いがあるのだろうかという点も意識して支援を心がけているつもりである。純粋に確認の意味で聞かれることもあるだろうが、ケースワークを行う上でポイントとなる質問ではないかと思う。具体的にどのように回答するかは各ケースによって調整しているところもあるが、この手の質問からどんな思いがあるのかという「主訴」の確認につながることも多い。その上で、どういったところを支援させていただくのが良いのかを本人やご家族等と一緒に考えていくプロセスにたどり着くのが大体の流れである。
今後も何度となく聞かれるであろう質問だが、個人的には奥深くもあり今後も大切にしていきたいテーマである。
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