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自宅退院が難しくなる要因とは

「家は無理です。」

入院患者さんのご家族などから伺うことのある意向である。要するに、今後在宅でのサービス等を調整したとしても自宅での生活は難しいと考えているということである。

この手のお話をいただくことは珍しくなく、実際にこのような意向を言われるケースの場合は在宅復帰に向けて解決が難しい課題がいくつも重なっていることもある。回リハ病棟の場合でも、入院患者さんのほとんどは70代以上の高齢者の方であり、本人の状態によっては思うようにリハビリによるADLの改善が進まない場合もある。本人のADLは勿論のこと、住環境や家族の総合的な介護力が大きなカギになってくる。以下、自身が考える自宅への退院に向けてハードルとなりやすい要素をざっくりとまとめてみた。

住環境…自宅への出入りや屋内の移動が安全にできそうかなどが特に重要。古い日本家屋の場合は段差等も多く、屋内での歩行器や車いすも難しくて本人が安全な移動手段を獲得できないこともある。住宅改修をしようにも、規模が大きくなり過ぎて費用面の課題も大きい。アパートや公営住宅であればそもそも住宅改修ができないケースもある。2階以上にお住まいでエレベーターなども無いとなるとさらにハードルは上がる。

ジェノグラム(家族図)…独居、敷地内独居、日中独居、同居の誰かが基本的に傍にいられるのかなど、本人のジェノグラム状況がどうなっているかは非常に重要である。言うまでもないかもしれないが、基本的に独居の場合はハードルは上がる。独居でなかったとしても、家族背景は様々であり非常に多岐にわたる要素が絡んでくるところである。就労・高齢・疾患・金銭的な問題、あるいはもともとの本人との関係(不仲)など、総合的な状況を踏まえる必要がある。

本人の状況…リハビリを受けてADLがどこまで改善されるか。退院想定の住環境を踏まえ、自宅での移動が安全にできそうか。排泄は自力で完結できるのか、難しい場合はどこまでのことをサービス利用や家族等の援助で補えるのかなどが焦点となりやすい。また、認知症の有無やその程度も重要となってくる。

基本的に入院前と比べると、リハビリを受けてもADLも元通りまで回復とはいかないのがほとんどである。入院前まで本人ができていたことでも、退院時にはどこまでのことが同じようにできるかはケースによって様々だ。本人・家族らがどこまでを自宅退院に向けてのゴールとするかも様々だが、リハビリ状況を踏まえ最終的に自宅で安全に過ごせそうかというところが一つの目安になることが多い印象である。

ものすごく雑にまとめると、自宅へ退院するかどうかは本人の状況(ADL・認知症の有無等)を踏まえ、家族を中心とした支援者側がどこまでやれるかによって決まってくるかと思われる。わざわざ言われなくても分かるような話かもしれないが、上記に挙げたような要素が絡めば絡むほど自宅への退院調整に難色を示される家族も多くなる印象で、無理もない話かと思う。

回リハは在宅復帰(自宅退院)を前提とした病棟であり、老健などの在宅復帰が取れない場所への退院者が増えすぎてしまうと病棟そのものを維持できなくなってしまう。そういった背景もあるので自宅は勿論のこと在宅復帰となる退院を基本は目指していくが、そうも言ってられないケースも当然出てくるのが現状だ。そんな時は、在宅復帰が取れないような退院調整を援助させていただくこともある。

医療ソーシャルワーカーとしては病院側の事情(在宅復帰)だけでなく、まずは本人・家族らにとって少しでも良いと思われる選択ができるように援助させていただくことを1番の念頭に置いて今後も支援にあたりたいと思う次第である。

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