入院患者さんは高齢の方も多く、入院されたのをきっかけに要介護認定(介護保険)の新規申請や見直し(区分変更)をされる方も多くおられる。いずれの場合であっても、申請時には認定調査と呼ばれるプロセスを踏む必要がある。
認定調査とは、市区町村に要介護認定(要支援認定を含む)を申請した際、後日実施される聞き取り調査のことである。市区町村や委託先の認定調査員が、要介護認定の対象者本人や家族に聞き取りを行い、要介護度の判定に用いる情報を収集するのである。聞き取りでは、主に本人の身体状況や認知機能面を確認される。
訪問による調査後は、コンピュータでの一次判定が行われ、その後一次判定の結果と主治医意見書の内容も考慮した介護認定審査会の二次判定によって最終的に結果が決まってくる。調査の時には本人に必ずお会いされるので、入院中であれば調査員の方が病院まで来られて聞き取りをされる形となる。
要介護認定を申請された際に関係者が一番気にすることは、どれくらいの介護度が出るかということである。介護度が高い方がサービス利用時の単価も上がるので、単純に高ければ高いほど良いというわけでもないが、利用できるサービスの幅や量にも関わってくるので非常に重要なイベントである。特に、施設への入所を視野に入れたケースの場合は要介護3(特養の通常申請が可能な介護度)以上が出るかどうかが焦点となってくることが多い。病院側としても、退院に向けてどれだけの選択肢が持てるようになるかが決まってくるので責任を持って取り組む次第である。
そのため、調査時には病棟の看護師さんだけでなく極力私(MSW)も立ち会うようにし、調査後には大体どれくらいの介護度が出そうか予想を立てた上でその後の支援構想にも反映させていくこととなる。場合によっては、ご家族の方や担当のケアマネジャーさんも立ち会ってくださり援護射撃(?)を送ってくださるケースもある。要するに、皆想定より低い介護度が出ると困ることが多いのである。我々病院側も、ケースによっては事前に担当予定の看護師さんとゴニョニョと相談をしてたりしていなかったりである(もちろんいい加減なことはしませんよ…?)。
本人の現状に見合った介護度が出るように調査をされるわけだが、「役場の人が来てくれた!良いとこを見せなければ!」と調査時に本人が張り切ってしまわれるケースも珍しくない(逆も無いとは言えないが…)。そうすると、普段はできないような動作等でもその瞬間は何故か成し遂げてしまい、結果的に想定より低い介護度が出るなんてこともある。
「人前ではできるだけ良い恰好を見せたい」なんて思いは誰しもが抱くものかもしれないが、それはいくつになっても変わらないのかもしれない。なんとも人間味があって微笑ましいと思わなくもないが、認定調査時においてはそれがあだとなり、結果的に家族や支援者を困らせてしまうなんてこともあるのだ。そのため、認定調査時は本人だけでなく普段の様子をよく知る関係者からの聞き取りもされるので、そういった方々のフォローも大切になってくるのである。
家族や関係者から、「介護度を上げてください!」「要介護3以上、よろしく頼みますよ!」なんてプレッシャーをかけられるような話をされることもあるが、本人の状況によっては「今の本人さんのレベル的に無理かもしれませんよ?」などと正直に話すこともある。そもそも新規申請や区分変更が必要か?と思う方でも依頼されるケースもゼロでは無い。病院側としてできる範囲のことはさせてもらうが、当然それ以上のことはできないのであしからずである。
結果的に望んでいた介護度には届かないケースも勿論あるし、想定よりも高い介護度が出たなんてケースだってある。特に入院中の方であれば、調査を受けたタイミングもかなり影響は受けると思われる。今後も、認定調査という介護度が大きく左右される一発勝負の場面で、調査員の方と本人含む関係者の方々による攻防が全国各地で繰り広げられていくのだろうと思う。





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